墨選びは実際に使ってみないとわかりませんし、天候や硯などの条件で墨色は違ってしまいます。

墨の特性を知った上で、目的に応じた墨選びをします。

墨の種類

目的や費用、好みの磨墨の感触や墨色に合わせて墨を選びます。

墨をおもに大別すると

唐墨・和墨/油煙墨・松煙墨

唐墨は磨墨に時間がかかり、和墨は膠の含有量が少ないため早く下ります。

墨色のイメージ

道具の相性を知ることが上手な墨使いのポイント

淡墨 淡くあたたかい雰囲気がでます。

濃墨 強さや厳しさを表現できます。

※墨色は硯や紙、気温、湿度、運筆の速度など書作時のあらゆる条件によって微妙にされます

購入されたら

購入された墨がビニールに包まれている場合はすぐにビニールから出してください。墨は空気に触れていないと傷む原因になります。特に寝かせておく墨には注意が必要です。

また、墨と一緒にいくつか書付が入っていると思います。これにはその墨の原料や特徴、取扱いの注意が記載されていますので、できれば捨てずに保管してください。墨色の見本が付いている場合もありますので、参考にしてください。

上手な磨り方

墨の磨り方はその墨自体の質以上に色調・発色に影響しますので、決しておろそかに出来ません。

硯は鋒鋩が細かくよくでたものを選んでください。伸びがよい粒子が細かく紙によく定着し、発色も美しくなります。

硯は使用前によく洗い、水につけておくと墨とよくなじみます。

磨り方は軽く持ってあまり力を加えずに磨ってください。目の細かい硯で力を加えずに磨るので時間がかかりますが、墨色のためには必要な作業です。

水はたくさん入れずに数滴ずつ硯の山に垂らして磨り、濃くなったら池に流してまた数滴垂らすの繰り返しです。

炭素の粒子をうまく分散させるのがよい墨色を出すコツです。

小さくなった墨は

墨ばさみが便利です。ただはさめないほど墨が小さくなった場合は墨と墨をくっつけてください。

くっつけたい墨の面を硯で磨り、互いの面を合わせれば簡単にくっつきます。後はよく乾かしてください。

他の方法としては、墨専用の接着剤でくっつける方法もあります。専門店には必ず売っています。

但し、一般的な接着剤は使用しないでください。硯を痛める原因になります。

墨の片づけ方

使い終わった墨の磨墨面は水分を吸ってふやけ、かなり柔らかくなっています。

必ず表面の水分はふき取らないとひび割れの原因になります。

墨は炭素粒子を膠で固めたもので水で溶かして使用するものですので、水分には非常に弱いのです。

ふき取るものは反故紙や布がよいです。ティッシュペーパーは繊維が付着してしまいます。

保管場所は、常に湿度の高いところ、温度・湿度が急激に変化するところ、直射日光があたるところは不適です。

風通しのよい部屋のタンス・木机の引き出しの中がベストです。購入時の箱に入れておくとよいです。

墨の保管法

製造時期から10年くらい経ったものが最適です。

寝かせるということは、墨の製造、乾燥過程で抜き切らなかった水分を放散させることで滑らかに墨下りをさせるために必要なことです。

また、歳月を経ると膠も弱くなり墨の伸びもよくなります。

保管には墨を和紙などの吸収性のあるものにくるんでタンスや桐箱に入れておきます。

巻いた紙が湿気を吸ってくれるのです。

購入された場合は、いつ買ったということを箱に書いておけば、製造後何年のものか分かって便利です。